社会学(sociology)とは何だろう?

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社会学とは何かを簡単に解説した記事です。社会学に関連する本や面白いテーマを掲載しています。

これから大学で学んでいく高校生や新大学生の皆さまにも参考になる内容かもしれません。実際に、現在慶應sfcで社会学の博士課程に在籍する谷口祐人氏のインタビューを通して社会学とは何かをお伝えしていきます!

また後半はLoohcs高等学院に在籍する学生が実際にどう学ぶのかという内容です。Loohcsに興味を持った方にはこちらもオススメできます。

Loohcsはポッドキャストを配信しています。ポッドキャストは学生同士が教員と学問やニュース、本の内容について考えその考えたことを発信していく番組です。ぜひポッドキャストの方もご視聴ください!!


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Table Of Contents
  1. 社会学(sociology)とは
  2. 社会学の博士課程に在籍する人に訊いてみた!!
  3. Loohcs(ルークス)高等学院での学び方
  4. 社会学Q & A
  5. 社会学おすすめ書籍

社会学(sociology)とは

日頃使っている社会という言葉はとても曖昧

ー社会学とはズバリどんな学問ですか?

社会学は世の中にある当たり前をいったんかっこにいれて疑い考えていく営みから始まります。そして統計やアンケートを通じて社会の法則を明らかにしていく学問です。


社会学は何でもあり

ー社会学は他の学問とどこが違うと思いますか?

同じ文系の科目でも社会学は幅広い分野を扱う点において大きく違います。社会学は社会のシステムを大局的に考えることから家族やジェンダー、都市まであらゆるところを横断的に扱います。まだ大学で何をするか決まっていない高校生、また悩んでいる大学1・2年生の方にはおすすめできる学問です。

社会学を学ぶとできるようになること

冒頭でもお話ししたように、社会学は「当たり前」を疑う営みから始まります。そういう習慣が身に付くことを、社会学的な想像力が育まれると言います。またもっと専門的な表現をすると自明性の罠からの脱却と言います。

社会学の成り立ち

ー社会とは?

社会学においては、主に近代以降(16・17世紀以降)の社会を対象にしています。しかし社会という言葉はもっと大きな意味を表すときもあります。たとえば次のような言葉があります。

社会はある種3人から始まる。1人は1人。2人は世界。3人は社会。

Loohcsアカデミー第一回『社会学ってどんな学問?』

つまり、第三者がいて初めて社会というものが認知されるということです。例えば、カフェにうっとりしてしまう程の2人の熱々カップルがいたとします。あなたはそれをみています。そんな状況において彼・彼女らから見えているのは”世界”です。なぜならお互い見つめ合っていて周りのことなんか気にしてないからです。でもそれを傍からうっとり見ているあなたは思います。「なんて熱々なんだろう」。もしかしたらもっと違う思いを抱くかもしれません。いずれにしろこの状況においてあなたは2人の世界を外から見ていることになります。すなわち2人の世界をかぎかっこにいれて考えたり思いを抱いたりしているといえます。これは難しい言葉で「メタ的に見る」と言います。これが大きな意味での社会です。

身近にある社会の形
  • 学校
  • 家族
  • 会社
  • 地域コミュニティ
  • 教会(日本ではあまり馴染みがないが)

ではもっと学問的な意味としての社会の成り立ちを見ていきましょう。

ー社会学はいつからはじまったの?

社会学は割と最近始まりました。だいたい19世紀ごろです。ではなぜ19世紀なのかというと、ある種社会の規模が大きく複雑になったのが19世紀だからなんです。

社会学が学問として成り立つ過程
革命による社会の活性化
  • 産業革命(Industrial Revolution):資本主義ができ、市民に経済力をもたらした。
  • 科学革命(Scientific Revolution):第二次科学革命では科学が制度化された。例えば、科学者という職業ができたり、大学に学部・学科が設置されたり、学会ができたりした。
  • 政治革命(Political Revolution):(近代)民主主義ができた。
産業革命によるグローバル化と国民意識の醸成

産業革命により経済が発達すると、鉄道が敷設され物資がやりとりされたり蒸気機関船によりいろいろなところから物資が調達されます。そうなると経済発展のために否が応でも国同士関わりを持たなければならなくなり、結果イギリス船やアメリカ船といった民族意識が醸成されてくるわけです。

国民国家の形成

そんな中何よりも大事なことは、国民国家というものができたことです。国民国家という概念が発明される前は、多民族国家が当たり前でした。国民国家という概念ができてからは、フランス人はフランスという国を作り、ドイツ人はドイツという国を作ります。例えば、日本列島に住む人に日本人という意識が芽生えることは多民族国家においてはあり得なかったんです。だから沖縄に住む人、大阪に住む人、北海道に住む人はそれぞれ沖縄人、大阪人、北海道人というように意識を持っていました。

カフェでの日常会話からはじまった社会学

今私たちの日常生活にもあるカフェ。もともともはそういった議論の場は貴族だけのものでした。しかし市民が経済力を持ち、コーヒー豆などの物流が盛んになると、喫茶文化ができてくるわけです。そうして市民はカフェに集い雑談や議論に花を咲かせました。例えば、当時の人たちは小説を読んだらカフェに行ってその小説について雑談し、話しているうちに小説の話から国のあり方おかしくねみたいな話になっていったと考えられます。こうして社交の場が拡大していったんです。だから社会学の始まりももともとはこういったカフェでの議論から始まった可能性があると考えられています。

例えば当初の議論では「いったいこの分業体制が進んだ社会ってなんだろう」といった議論1もありました。

自然科学の方法を参考に発達した社会学

社会学はソシオロジー(sociology)と言われますが、もともとは社会物理学(social physics)として構想されました。というのも社会学は自然科学の観察と実験という方法を使っていたからなんです。だから学問ができた順番としては自然科学より社会学の方が後ということになります。

社会学における科学観の違い

ー社会学の問題点はどのようなものがありますか?

社会学では「調査方法」に関して大きく分けて三つの考え方があります。そして立場の違いによって時には論争が起きています。

  • 実証主義 :実験や統計
  • 解釈主義 :インタビューやフィールドワーク
  • 批判的実在論 :一歩引いた位置から枠組み自体を問い直す

上に挙げた三つの立場が調査方法に関する価値観の違いです。三つのうち批判的実在論の毛色が違いますが、イメージとしては実証主義と解釈主義の間に批判的実在論が位置していると思っていいでしょう。

参考図書

  • 野村康『社会科学の考え方―認識論、リサーチ・デザイン、手法』名古屋大学出版会

具体的な研究対象

社会学において分類は不可能で意味をなしません。社会学は分野横断的(これをむずかしい言葉で学際的といいます)だからです。しかしあえて分類を記すと下のようになります。

・社会学の歴史や伝統的な考え方を学ぶ

社会学史、理論社会学、社会システム論 など

・メディアや文化を学ぶ

マスコミニケーション論、メディア文化論、文化人類学、身体文化論

・人間の心理と社会の関係を考察

社会病理学、ジェンダー論 など

・家族や福祉、教育のあり方を考察

家族社会学、福祉社会学 など

・企業や労働者に関わる問題を考察

産業社会学 など

・都市のあり方や歴史を考察

都市社会学、歴史社会学 など

・災害に対する人々の意識や対応、メディアの機能を考察

災害社会学 など

社会学と学会

社会学と大学

社会学の博士課程に在籍する人に訊いてみた!!


社会運動に関する研究をされている谷口祐人さんにお話を伺いました!2


ー社会学をやっていてわくわくする時はどんな時?

谷口氏:社会学を学んでいてワクワクするときはやはり常識が崩れていく時ですね。

インタビュアー:驚きから哲学は始まると言いますけれど

  • 日本人ってなに
  • 子供ってなんなの
  • 男と女
  • 都市とは
  • 空間時間とは

と考えていくとそういった驚きやわくわくと出会うことは多そうですね!

ー社会学との出会いは?

そうですね、もともと社会学という学問は大学へ入るまでは知りませんでした。そういうこともあって高校生には大学で初めて知るような学問をもっと知ってもらいと思って教えています。高校生までは歴史にのめり込んでいました。小学生の頃に、『三國無双』や『信長の野望』といった歴史ゲームが流行っていて、それ以来歴史が身近にありました。大学受験で日本史と世界史を選択する人はなかないないんですが、私は選択しましたね。当時はそれくらい歴史に熱中していました。あれやこれやと浪人したんですが、その浪人時代に予備校で解いた小論文の問題を通じて社会学と出会ったんです。その小論文の内容は小熊英治さんの歴史社会学に関する本3を扱っていました。そのあとすぐ本屋に買いに行きましたね。それから大学へ入ってすぐはアジア主義を学びましたね。

インタビュアー:なるほど大学生になる前の谷口さんは歴史少年だったんですね!浪人時代に社会学と出会ったというのは何か運命的な出会いに感じます。自分が高校時代に知らなかったことを今の高校生には教えてあげたい!そんな熱い優しさを持つ谷口祐人さんでした!

Loohcs(ルークス)高等学院での学び方


インタビュアー:実際Loohcs高等学院ではどんな授業なんですか?

谷口氏:Loohcsでは「学生それぞれが自分なりの視点を見つけていくこと」を目標に授業をしています。ただ単に知識を暗記するのではなく、考え方の枠組みを知ってほしいので、授業で扱うキーワードは3〜5個の範囲に収めています。例えば人間の心理と社会の関係に関する授業では、暗記してもらうキーワードはジェンダーとセックスとセクシャリティの三つにして、あとは考え方の枠組みを教えるという内容で授業をしています。

インタビュアー:なるほど、昨今では雑学王がもてはやされることもありますもんね。

谷口氏:もちろん知識があることはとても大事です。知識がなければそれを組み合わせることはできませんからね。ただ知識を覚えればそれでいいということはLoohcsでは推奨していません。ただ暗記した知識はすぐに抜け落ちてしまうだけでもったいないですからね。やはり関連づけていればそういったことは起こりません。知識は抜けても、それを関連づけた思考の枠組みは覚えていることは十分ありえます。

インタビュアー:なるほど!知識と知識を関連付けることが思考の枠組みなんですね。最後に何か一言よろしくお願いします!

谷口氏:私たち教育者側は、星(知識や考え方)を与えるだけです、学生の皆さんには自分だけの星座を作ってもらいたいですね。それが彼ら自身を助けることにも繋がると思っています。

インタビュアー:ありがとうございました。”自分だけの星座を作る”かっこいい言葉ですね。Loohcs高等学院では体験授業もやっているみたいなのでぜひお問合せくだい!

Loohcs高等学院のお問い合わせはこちらからどうぞ

ポッドキャスト『社会学ってどんな学問?』

文字起こしもあります:https://loohcs.co.jp/l-aka/sociology/mojio/maru1-2/

https://open.spotify.com/episode/6zdweTnErwpC5VJP9qjMB5?si=S5fOk9AZSgaICzOFkVrbyQ

ポッドキャスト『人権・ジェンダー・エスニシティ』

社会学Q & A


ー親に社会学をやりたいと言ったら「社会学は左翼だからやめなさい」と言われました。社会学は左翼で過激な学問ですか。

谷口氏:実際に学んでみて考えてください。こういうのは実際にやってみることが大事です。ただ一つ答えるとするならば社会学的に左翼や右翼というのは時代によって移り変わります。ただ社会学の営みとして、今まで信じてきたものを疑うという側面があります。ということは、人によっては過激に写ることもあります。また社会学は周辺的(marginal)な学問だと言われています。つまりよくわからない面があるということです。まずは親御さんに言われたことが事実なのか確かめることから、社会学の門を叩いてみてはいかがでしょう。

社会学おすすめ書籍


入門書

  • 筒井淳也/前田泰樹『社会学入門 — 社会とのかかわり方』 有斐閣ストゥディア
  • 見田宗介『社会学入門: 人間と社会の未来』岩波新書
  • アンソニー・ギデンズ『社会学 第五版』而立書房
  • 友枝敏雄・浜日出夫・山田真茂留 編『社会学の力 — 最重要概念・命題集』有斐閣

人権・エスニシティ・移民に関する書籍

概観をつかみたい人へ

  • 望月優大『二つの日本「移民国家」の建前と現実』講談社新書
  • 永吉希久子『移民と日本社会——データで読み解く実態と将来像』中公新書

より幅広く知りたい人へ

  • アンソニー・ギデンズ『社会学 第五版』(而立書房)第13章

より重厚な議論を追ってみたい人へ

  • 小熊英二『「日本人の境界」——沖縄・アイヌ・台湾・・朝鮮 植民地支配から復帰運動まで』新曜社

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