美学(esthetic)ってなんだろう?

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本記事は、ポッドキャスト『【Loohcsアカデミー第8回】美学①ー美・芸術・感性の三位一体』をもとにつくられています。そちらも一緒にご覧ください。

美しくなりたい。自分なりに努力してみるけど。。いやちょっとまって、、そもそも美しいってなにかしら。。


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美学とは

美学の成り立ち

ー18世紀に生まれた学問

美学(esthetics 読み:エステティクス)は18世紀にアレクサンダー・バウムガルデンの手によって創始されました。彼はドイツの哲学者です。バウムガルデンは美を芸術と感性に結びつけました。芸術の目的は美の表現にあり、美というものは論理ではなく感性によって把握されると考えました。とても簡単にいってしまうと、美しいものをつくることが芸術の役割であって、美というのものは頭ではなく心で感じるものだということになります。美・芸術・感性を扱う学問が美学といえるでしょう。

ーー18世紀ヨーロッパの概観

当時のヨーロッパは啓蒙(けいもう)主義の風潮が高まっていました。啓蒙主義は理性と進歩を重んじる価値観です。それは政治・文化・思想あらゆる領域でのテーマになりました。もちろん美術の分野も例外ではなく、新古典主義はその代表的な思想です。

美とは

では美とはどのようなものなのでしょうか。ここで美とは「完全性」のことだといえます。どういうことか美の語源から探ってみましょう。漢字文化圏では美しいは「神に捧げる羊が大きい」という意味からきています。西洋文化圏では「神に捧げる羊に欠陥がない」(ラテン語)という意味を持ったり、「立派や善い」(ギリシア語)という意味があります。このように美はもともとは「大きく、完璧で、善いもの」という意味をもっていました。美と善、美と神がかったもの、美と力は分離できないものなのです。

芸術とは

芸術はアートの訳語ですが、アートの語源はギリシア語のテクネーであり、テクノロジーの語源でもあります。テクネーは「つくられたもの」に関する知という意味があります。そのため、芸術とは「つくること」に関するものごとだということができます。「つくる」には模倣や発明(広く表現活動)なども含まれます。ここでは、芸術とは美しいもの=完全なもの=本来の姿を表現する営みなのだと一旦定義しておきたいと思います。

感性とは

感性と対比されるものは論理といえるでしょう。例えば、大きなお風呂に入って「気持ちいいな」と感じることは論理によって明らかにされるものではなく、感性によって体験されるものです。あるいは、とても綺麗な景色をみたときも「うわーすごい」と感じたり、おいしいものをたべたときは「うまい」と感じたりします。このように論理を超えてあるいは論理より先に「何かを感じとる」ことを感性と言います。

美学と社会

美学学会:https://www.bigakukai.jp/

日本音楽学会:http://www.musicology-japan.org/

藝術学関連学会連合:http://geiren.org/

関連書籍・オススメの本

佐々木健一『美学への招待 増補版』中公新書
カロル・タロン=ユゴン『美学への手引き』白水社
青山昌文『美学・芸術学研究』放送大学教育振興会

本格派な本・概説書

  • 大西克禮『美学』(上・下)弘文堂,1959/60.
  • 竹内敏雄『美学総論』弘文堂,1979.
  • 渡辺 護『芸術学[改訂版]』東京大学出版会,1983.
  • 中井正一『美学入門』朝日新聞社(朝日選書)1972,岩波文庫(『中井正一評論集』所収)1995.
  • 今道友信『美について』講談社現代新書,1973.
  • 今道友信『東洋の美学』TBSブリタニカ,1980.
  • 吉岡健二郎編『美学を学ぶ人のために』世界思想社,1981.
  • 望月登美子『エステティカ:やさしい美学』文化出版局,1985.
  • 武藤・石川・増成編『美学/芸術教育学』勁草書房,1985.
  • 山本正男監修『芸術学の方法』玉川大学出版部,1985.
  • 木幡順三『美と芸術の論理:美学入門[新版]』勁草書房,1986.
  • 神林・潮江・島本他編『芸術学ハンドブック』勁草書房,1989.
  • 青山昌文『美と芸術の理論:世界再生のミーメーシス美学』放送大学教育振興会,1992.
  • 渡邊二郎『芸術の哲学』放送大学教育振興会,1993.
  • 西村清和『現代アートの哲学』産業図書,1995.
  • D.ユイスマン『美学』(久保伊平治訳)白水社(クセジュ文庫),1959.
  • H.ルフェーブル『美学入門』(多田道太郎訳)岩波書店,1960.
  • V. C. アルドリッチ『芸術の哲学』(川野・徳丸訳)培風館,1968.
  • R. G. コリングウッド『芸術哲学概論』(三浦 修訳)紀伊国屋書店,1968.
  • E.スーリオ『美学入門』(吉田他訳)法政大学出版局,1974.

ポッドキャスト『美学ってなに?』

文字起こし記事はこちら:https://loohcs.co.jp/l-aka/esthetic/es-ji/maru1/